時間外・休日労働に対する割増賃金の支払いが不要な人は、下記(1)~(3)に該当する人です。(1)農業または水産業等に従事する者
(2)監督もしくは管理の地位にある者、または機密の事務を取り扱う者
(3)監視または断続的労働に従事する者で、行政官庁の許可を受けた者
(1)~(3)のうち、(2)の前段部分については、労働基準法第41条の「管理監督者」ですが、管理監督者に該当するかどうかについては、具体的に以下の4つの要素で判断します。
(1)経営者と一体性がある
・経営会議等に参加し、発言権があるかどうか。
・会社全体の経営についての方針決定などに参画しているかどうか。
(2)人事考課権がある
・最終的な決定権があるかどうか。
(3)勤務時間に裁量がある
・遅刻、早退による賃金控除がされていないかどうか。
・人事考課でマイナス評価がされていないかどうか。
・パート・アルバイト等の人員不足の穴埋めをしていないかどうか。
(4)相当の待遇差がある
・一般の従業員と比べて相当の待遇がなされているかどうか。
・一般的な従業員の時給単価を下回っていないか。
・今まで支払われていた残業代がなくなり、以前と比べて給料が安くなっていないかどうか。
一方、管理監督者性を否定されると大きな損失を受ける可能性あります。裁判等で争い、否定された場合、まず、残業代の支払いが必要となる可能性が出てきます。賃金債権の時効は5年(当面の間は3年)のため、3年分まとめて支払う可能性あります。
また、2019年4月の安全衛生法の改正により管理監督者でも健康管理の面で労働時間の把握が必要となりましたので、残業が1か月80時間超えた者から申し出があった場合、会社は医師による面接指導を実施する義務が有ります。
そのほか、問題となるケースとして考えられるのは、管理監督者の時間外が多く本人が亡くなった場合などに、遺族が訴えてくる可能性があることなどです。公益通報保護法の改正により匿名による内部告発が容易となったことで今後、告発が増える可能性があると思われます。なので、本人が、残業代が支給されないことについて納得していても、遺族や内部告発により問題となる可能性が高まっているといえます。